つくしの子のお母さんが作ってくれたセリのおひたしを再現したくて、阿佐ヶ谷スターロードの入り口近くの八百屋「やおゆう」へ立ち寄る。あいにくセリはなくて、青みずが四束のこっていたのでそのうち二束と生なめこを買う。飲屋街にある八百屋は、珍しい食材が手に入る。青みずの油炒めは、青森で義母に初めてならった料理だったのような。何十年も前の夏、お互いに遠慮しながらも和気藹々と、新聞紙を広げた上でみずの薄皮をむきながら5センチほどの長さにポキンポキンと手折っていった。「蛇が出そうな湿った所に生えているんだよ」とお義父さんも声をかけてきた。だから蟒蛇草(ウワバミソウ)という名前も持っている、ということを知ったのはつい最近だけれど。

 今日はワンデーアキュビューのプロダクトマネージャーに取材するため原宿へ行った。表参道と明治通りの交差点近くで編集者を待っていると、どこもかしこも新しいビルで、自分は冷めた目で眺める。原宿セントラルアパートがあった場所なんて、あれから二度は新築したんじゃないかしら。日曜日の鬼子母神通りみちくさ市で、股旅同盟のさるえ堂さんから『原宿セントラルアパートを歩く』を買ったばかりだから、なおいっそう70年代の原宿セントラルアパートが懐かしい。

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