黒田泰蔵さんの富戸のアトリエへ。イギリスからのお客様を交えて三名で黒田さんを囲む。私以外は英語での会話。なんとか聞き取りはできても、英語がまったく口から出てこない。少しは聞き取れるのだから、英語に慣れる機会があれば片言でもしゃべれるようになるのかしらなんて考えながらももどかしい。
 黒田さんは、二十歳の頃からずっと、「永遠に存在する普通を創造する」ことに夢中になっているのだという。完璧に美しい白磁のシリンダー(円筒)をたった一つでいいからつくりたい……その一念で作陶を続けている。
 今熱中しているのは庭づくり。自然に近いランドスケープを自分でユンボを動かしてつくってしまう。聞くもの、見るもの、すべてが驚き。作品もライフスタイルもすべてが憧れ。
 黒田さんのようにできなくても、自分に今の百倍問いかけて問いかけて、自分にとって心地がいい空間で暮らせるようにしたい。
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 「トットてれび」、4回目がすごくよかった。篠山紀信がトットちゃんのヌード撮影をするエピソードが出てきた。紀信が撮影の時に、「内面に向かって。じっと覗き込んでごらん」とトットちゃんに語りかける。これだけがきっかけになったわけじゃないけれど、トットちゃんは「私って何なんだろう?」と変わりはじめてニューヨークへ旅立つ。
 この時(1968年)の写真集「篠山紀信と28人のおんなたち」が家にある。古本屋で見つけて買ったのが25年くらい前。黒柳徹子江波杏子美輪明宏らのヌードの珍しさと美しさに惹かれたのだけれど、まさか、紀信がそんなことを撮影時にトットちゃんに語りかけているとは夢にも思わなかった。別のテレビ番組で満島ひかりが、小学生だった沖縄アクターズスクール時代に紀信に写真を撮ってもらう機会があって、無理に笑顔をつくろうとしたら、「笑わなくていい、笑わないほうが君らしい」と紀信に言われて、その時に自分らしさを自覚したと話していた。なんだか紀信を見直す今日この頃。