ユミちゃんを誘ってアッコちゃんの転院先にお見舞いに行く。意外にも落ち着いている様子で眠っている。看護スタッフが大事にしてくれているのが伝わってくる。看護師さんが口腔ケアをしながら、口腔ケアが感染症を防ぐのにいかに大事か説明してくれた。お見舞いに行った私たちにとっても、今までの病院よりも居心地いい。窓が大きくて明るいからかな、そう思ってレースのカーテンの隙間から外をみると、江ノ島灯台と水平線が見渡せた。
 「電話貸してくれますか」東北訛りの声がして、入り口を見ると七十代とおぼしき女性が入ってきた。駅前の叔母の店でお茶を飲んでいたときのことだ。「青森から来たの?」──青森って特定する叔母も思い込みが激しい。「ううん、山形。娘んとこにサクランボもってきたんだけれど、迎えの車が来ないの」──店の外に大きな荷物を抱えたダンナさんらしい人が立っている。駅前のお店はいろんな人がひょっこり入ってきて飽きない。叔母とゆっくり話をするつもりだったのに、ひっきりなしに来客があるので諦めて電車に乗った。話をする時間がなくて逆に良かったのかも。
 f:id:Shimabanana:20160612135752j:plain:right:w350茅ヶ崎から白楽へ。電車の中から改札に立っているおケイねーねが見える。散歩堂さんがゲストとして出演するトークショー「ひと月十冊」を聴きにツイードブックスへ向かった。店名からしてファッション系にも強く、以前、友人経由で1970年発行の「装苑」を探していただいたことがある。店主さんもお店もくつろいだオシャレ感がある。ドジブックスさん、ドーナツブックスさん、散歩堂さん、ツイードブックスさんが順番に、このひと月で読んだ本の中からおすすめの十冊を取り上げて説明する。もう18回も続いているのだそう。しかも毎回、南陀楼さんからも「ひと月十冊」が解説付きでメールで届けられるという。散歩堂さんは同世代だけれど、それ以外の方々は「寺内貫太郎一家」をライブでは見ていないという、ずいぶん年下の方たち。でも向田邦子も昭和の芸能についてもしっかり読み込まれている。散歩堂さんは初回とは思えない落ち着きぶりで、笑いを取ることも忘れない。さすが古本芸人! 面白い企画だった。唯一困るのは、「そうそう!」「それはね〜」と口を挟みたくなる衝動を抑えること。だってこの前、一之輔師匠が客席から口を挟むおばさんに「そこそこ、私語厳禁ですからね」と笑いながら注意をしていたんだもん。 
 ツイードブックスさんで「ステーキの焼き加減」(古波蔵保好)ほか3冊購入。与那原恵さんの『わたぶんぶん─わたしの「料理沖縄物語』は、大叔父である古波蔵さんの『料理沖縄物語』への〝かえし歌〟のように感じてしかたない。どちらも大好きな本。