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助六

食べもののこと 落語

 義母の通院に付き添う日。タクシーのなか、買い物にもテレビにも興味を失った義母との会話のテーマがなかなか見つからない。何か食べたいものはあるかと尋ねると、「おいなりさん」とめずらしく張りのある声が返ってきた。そうそう、「助六」が好きな人だったんだ。「かんぴょう巻きも?」と聞くと、「いいね」と短く応える。「ウチの父親もかんぴょう巻きをよく食べるんですよ、若い頃は見向きもしなかったのにね」と饒舌な女性タクシードライバーのが何かにつけて口を挟んでくる。ちょいとめんどう。義母との別れ際、「今度はおいなりさんを持ってくるね」と言うと、「太巻きもいいね」とちゃっかり末っ子気質を見せてくれた。
 外苑前から歩いて某社へ向かう。日本青年館も明治公園もすっかり取り払われ、空が広くなったけど、神宮外苑の森の神秘な感じも薄れてしまった。
 打合せが押して少し遅れての「吉坊 一之輔二人会」(日本橋公会堂)。きいち「寄合酒」、吉坊「七段目」、一之輔「百川」、中入り後、一之輔「臆病源兵衛」、吉坊「次の御用日」。吉坊の「七段目」は、「型」が美しく、見惚れさせてくれる。一之輔はどちらのネタも大笑い。特に「百川」は完成度高し。
 f:id:Shimabanana:20160614104749j:plain:right:w250久しぶりにヤッチェルも見に来る予定なのに会場に姿がない。残念だったねとチャーリーと話しながら打ち上げの店を探していると、大きな声が聞こえてヤッチェルが追いかけてきた。よくぞ見つけてくれました。三人で飲むのは久しぶり。店に入ってヤッチェルの頼んだものは、「お新香巻き」。「オレはお新香巻きが好きなんだよね」。ややっ、今日は「助六の日」だな。2軒目はヤッチェルの知り合いがやっている人形町の「うぽっぽ」。気になる店名は江戸語で「のんきな様子」の意味とのこと。店主セレクトの日本酒が非常に個性的。あまり見かけないラインナップだ。私は栄光酒造の松山三井、山崎合資会社の奥、山口県はつもみじの原田をいただく。