奈々福さんの「語り芸パースペクティブ第六回、女流義太夫」。人間国宝・竹本駒之助師匠と鶴澤寛也さんの会、またもや素晴らしく、感動。
駒之助師匠の毅然とした存在感、冷静にして微細な語り。決して涙を誘うような語りではないのに、いつの間にか情を動かされ、涙が溢れていた。その力量にただただ恐れ入ってしまう。駒之助師匠が、師である四代竹本越路大夫から度々言われたという「余して語るな」「死んでもええやないか、ここで楽してどうなる」という言葉。芸道を全うする人たちに憧れるなあ。

青梅街道沿いの郵便局へ行ったついでに、JAのあぐりーんで杉並産のナスとピーマン、枝豆を購入。ナス入り青椒肉絲を作り、カレイの西京漬、枝豆という簡単な料理だけれど、充実の夕飯でした。

2013年8月13日

義兄が一人暮らしをする実家。お盆かざりは逆に義兄にとって負担になるのではと躊躇していたが、叔母と二人で出かけて
葦製の小さなむしろと精霊馬、精霊牛、果物だけをかざりつけてきた。
母が存命で姉が元気だった頃は、四方に笹を立てて鬼灯も添えるという華やかさで
みんなで集まり、まわり灯篭のスイッチを入れた後も、あれやこれやと話をしながら過ごした時間が
どれだけ幸せなものだったかを噛み締める。
もちろん、義兄が実家の仏壇を守ってくれていることに感謝してもしきれない。

叔母の家に寄ったら桜の木で大きな鳴き声を立てていたみんみん蝉におしっこをひっかけられた。
ぎゃあと叫んだが、鼻で嗅いでみると無臭。蝉は樹液だけを吸って生きているので、その汁だと知り、安堵する。

静かにお正月を迎えました。

本年もどうぞよろしくお願いします。

29日に長姉を見舞い、元旦は施設の義母と数時間過ごしてから、94歳の夫の叔母の家でお正月を祝った。
見舞う長姉がいるから故郷を訪れる機会があり、義母や叔母がいるから親類で正月を祝うことができる………そうしたありがたさが年々ひしりひしりと重たさを増す。

去年のお正月は挫折から立ち直れないでいた。大きな挫折だった。そんな私なのに、久しぶりの方やら初めての方からお仕事をいただき、3冊の単行本に関わらせていただいた。まだ仕事を続けていいんだよ、そんなことを天から囁かれたようで嬉しかった。

今年の心境は、綱渡りの心細さ。
長く生きてきてようやく気づかせてもらった弱点を改善しなければ先には行けない。
のんきな性分だから改善は仕切れないんだろうけれど、
緩めすぎずに気を引き締めて前に進もうと決心はした。



煮しめ、だし巻き、金柑煮、花豆煮、栗きんとん、ローストビーフと張り切って作りました。でも急激に頑張り過ぎてやや風邪気味。
無理は効かないお年頃を実感しつつ、今年は段取り良くやりましょう。
2018年のおせちは、もう少し凝ったおせち料理を加えるのが目標。
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夏至南風

 夏至南風(カーチバイ)の影響で高波になることが多くて、高速船が出るか出ないかはらはらする梅雨明けの波照間島行きも、今年は晴天に恵まれてすんなり。強い光線のおかげで空も海もこの世のものとは思えない色彩で出迎えてくれた。空気が甘くて、普通にしていても深呼吸ができる。車も人も少ないせいか、深々といつまでも眠れることができる。必ず帰りたくなくなる。でも、この紫外線が強い島での生活は厳しいことも容易に想像がつく。自然に逆らわず、知恵をもって共存しているから地元の人は、賢く、飾らず、素のまま。だからここに来ると心が洗われる。

   波照間島の南には、さらに南波照間島(パイパティローマ)があると信じられていて、人頭税に苦しんだ島民の中にはその島を目指して島から出ていった人がいたそうだ。美しいことと辛いことが同居する暮らし。ダレきった今の私には想像を絶する。 
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   旅行疲れか出た体を引きずって中央区のとある老舗に伺い、86歳になる大旦那から戦後復興の話を聞く。終戦の時には16歳だったという。エンジン音を聞くだけで敵機の機種がわかってしまう航空機マニアの秀才は、軍国少年だった。天皇陛下のために死ぬことがちっとも怖くなかった。敗戦を迎え、食べることに精一杯で、どうやって生きてきたのか思い出せない。30歳になって哲学的に考えるようになり、それまでの自分は、生きていながら生きていなかったも同然だったことに気づいたという。そして、さまざまなことがあり、今があるから人生は面白いと明るく淡々と話される。聞いていて涙腺が緩んでしまった。  
  
 

姉のお見舞い。目を大きく見開いていた。突然訪れたゆみちゃんとわたしを見て、目をさらに見開く。かなり驚いている様子。口を動かしているせれど、声が出なくて、わからない。こっちから今日の日にちとか天気とかを伝えると静かになった。どんな気持ちなのか。以前より穏やかな感じがする、姉がここでがんばっているから兄もがんばれる、いろいろ言う人がいるけれど、すべてて憶測。姉本人にしかわからない。
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茅ヶ崎に行き、正蔵師匠の「薮入り」と、つる子さんの「短命」。少し早く出たおかげで、つる子さんと言葉を交わす。正蔵師匠とは違う個性が光り、将来が楽しみ。
週が始まり、向田和子さんと打合せ。ご自分ではくだらないことばかり覚えているとおっしゃるけれど、さすがに姉妹、畳の目を拾うような記憶力には脱帽する。幼い頃から誰より頼りにしていた姉が、まだ53という年齢で、仕事の最盛期に、飛行機事故で消えてしまうというのは、考えただけで耐えきれない。和子さんにはそれを乗り越えて、姉の残した著作をまもり、世に生かすという覚悟が見える。
わたしも現実逃避せずに生きていこう。

ゴールデンウイーク前から携わっている本の初校がすっきりと終わった。装丁もものすごく楽しみ。校正は不得意なんだけれど、姉が言ってくれた「失敗したらどうしようとおじけづくから、失敗を引き寄せる。どーんとしていれば大丈夫」という肝っ玉のアドバイスに助けられた。

 今週は日本酒にまつわる3つの会に参加。高嶋酒造高嶋一孝社長による「蒸し燗提唱」セミナー、荻窪いちべえでの「新政」の会、そして山本洋子さんによる「地域食材×純米酒 Vol.8大豆」。

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昨年はご自身のこ病気でいらっしゃられなかった新政の祐輔社長が今年はいらして、昨年亡くなったいちべえの桂馬社長への想い出を述べられたのが胸に沁みた。荻窪いちべえが祐輔社長の日本酒の学校であったというのは、私にとっては嬉しい話。
スター杜氏である祐輔社長についついサインをもらってしまったが、ファンサービスはいいので、日本酒の造りだけに専心して欲しい。祐輔社長、高嶋社長、洋子さんは日本酒の世界の宝物だから。

相模灘を望む伊豆半島の高台。光線とともに移ろう風景に身を預けながら、2日間のロングインタビュー。
濃密な内容に好奇心が満たされながらも、集中し過ぎで頭がパンパン。

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「道を見つけるまではどんなに時間がかかってもいい。ひとたび道を見つけるたら、突き進みなさい」

浜田庄司の言葉通りに生きる人が眩しい。